借入は可能?破産後にお金を借りたい人が知るべきポイント4つ
借金が膨らんでくるとふと頭をよぎるのが「自己破産」です。
現在の借金を免除してもらえる救済制度ですが、その後一定期間お金を借りられなくなるという大きなデメリットも同時によく知られています。
「一度破産までしたら今後お金を借りることはないだろう…」と安易に思いがちですが、意外にも破産後またお金を借りる人は少なくありません。
破産後、カードローンでお金を借りないようにするのが一番ですが、どうしてもお金を借りたい、お金が必要!という方もいるでしょう。
そんな方が破産後にお金を借りるにあたって、知っておきたいいくつかのポイントについてこの記事では解説していきたいと思います。
破産したらどうなる?簡単におさらい
破産してもお金を借りられるのか?という話をするまえに、改めて破産したらどうなるのか、具体的に言うと「破産したらお金を借りることができない理由」について説明したいと思います。
中には「借金が返済できなくなっても自己破産すれば借金をチャラにしてまたお金を借りることができる!」と思っている方もいるかもしれませんが、当然そんな甘い話はありません。
破産した場合は重い「ペナルティ」が待っています。
自己破産を行うと…最低限以外の財産はなくなる
まず、自己破産手続きを行うと、生活のために必要な家具などの債務者の最低限の生活を保障するための財産以外は、少しでも弁済するためにすべて手放すことになります。
具体的には持ち家や車、複数ある場合のテレビやパソコンなども該当します。
また、モノとしての財産だけでなく著作権のような「権利」も財産としてとらえられるため、自分のものでなくなってしまいます。
自己破産は借金で生活できなくなる人を救済する制度ですので、生活ができなくなるほど財産を取られてしまうなんてことはありません。
ただし、生活レベルが落ちてしまうといった可能性は十分に考えられます。
自己破産を行うと、官報に名前が載る
自己破産を行い、免責が決定された約2週間後くらいに政府が発行する「官報」に名前や住所といった個人情報が掲載されます。
官報とは政府情報の公的な伝達手段で、インターネットでも閲覧することが可能です。
が、一般的な新聞のようにコンビニなどで販売されているわけではないため、官報に載るからといって一気に近所に破産したことが広まるという可能性は低いといえるでしょう。
(ただし、官報に日常的に目を通すような職種の場合、職場の人に知られてしまう可能性はあります)
自己破産を行うと一定期間お金を借りられなくなる
これが自己破産において、大きく取り上げられるデメリットと言ってもいいでしょう。
お金を借りる際に、必ずチェックされるのが「信用情報」という、客観的なお金の使い方(借り方)を示す情報です。
この信用情報に「異動情報(事故情報)」が登録されているといわゆる「ブラックリスト入り」している状態となり、お金を借りることが出来ません。
自己破産の他にも以下に該当した場合は同様にブラックリスト状態となりますが、自己破産はその中でも一番「重い」ものです。
- 延滞(返済をしないまま数ヶ月が経過している)
- 代位弁済(返済をしないので保証会社が弁済した状態)
- 債務整理(任意整理・民事再生)
一体何が重いのかといいますと、異動情報が信用情報に登録されつづける「期間」です。
信用情報は一度登録されると永遠に残るわけではなく、その情報の種類によって決められた登録期間がすぎるとその情報自体がなくなります。
例えば「カードローンへの申込みをした」という情報は最長6ヶ月で抹消されます。
4月にカードローンの申込みをしても、11月にその人の信用情報をチェックすればその情報自体が信用情報に登録されていないのと同じになるわけです。
当然ですがマイナスな情報が信用情報に登録されていると審査に影響を与えますのでお金を借りづらくなります。
自己破産はこれまで借りていた借金をゼロにするものですから、お金を貸す側にとっては「とんでもない客」であると言えますので、その情報があると「この人にお金をかしても返済出来ないかも!」と思われて審査に落ちやすくなるんです。
自己破産した場合、日本に3つある信用情報機関にその情報が登録される期間は
株式会社シー・アイ・シー | 5年 |
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株式会社日本信用情報機構 | 5年 |
全国銀行個人信用情報センター | 10年 |
と、最低5年最長10年ともなる非常に長い期間になっています。
多くの消費者金融や銀行などの金融機関は複数の信用情報機関に加盟していますし、重要な情報は信用情報機関同士で共有しているため、5年で情報が抹消されるとしても10年近くはお金を借りられないと思っていたほうがいいでしょう。
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ポイント1:本当にお金が必要なのかしっかりと考えて
信用情報から自己破産した情報が消えればお金を借りることも可能になるわけですが、破産後にお金を借りるにあたってまず一番に考えていただきたいのは「借りるお金は本当に必要なのか?」ということです。
つい「お金が足りなくなったら借りればいい」と思うのかもしれませんが、その考えが危険であることを自覚することが第一歩といえるでしょう。
なぜお金が足りないのか、その原因をはっきりとさせる
借金もない状態であれば、借りるほどお金が足りない!ということはあまりないかと思います。
まずはどうしてお金が足りないのか、その原因をはっきりさせることが大切です。
例えば収入が少なくて1ヶ月の生活もままならないというのであれば、カードローンでお金を借りるよりも先に生活保護などの公的な福祉制度の利用を検討してみましょう。
必要な書類が多かったり、実施されるまでに時間がかかるといったデメリットもありますが、公的な制度なので仮にお金を借りたとしても金利がゼロに近く、負担になりにくいという大きなメリットがあります。
単純にタバコを吸いすぎて給料日前にお金がなくなってしまう、飲みに行き過ぎて…という原因であれば自分で節制すれば済む話で、わざわざお金を借りるまでもありません。
お金を借りる前に頼れる人がいないか見回してみる
カードローンでお金を借りるのは手軽ですが、金利は決して低いものではありません。
しかも一度返済に失敗しているのですから、利用は慎重になるべきです。
「とりあえず(企業から)お金を借りる」という決断をする前に、親や兄弟、親戚などからお金を借りることは出来ないか考えてみましょう。
親類であれば金利をつけてくることはそうないでしょうし、心配であれば「借用書」を作っておくことも出来ます。
また、親類ではなくとも頼れる友人や恋人など、一時的であればサポートしてくれる人もいるかもしれません。
当然ですが、借りたお金はきちんと返済しましょう。
返済しないことで信頼や大事な縁を失う可能性もあります。こちらから「○月には返済する」と具体的な返済時期を伝えておくとベターですよ。
ポイント2:クレヒスを作るためにクレジットカードを作ろう
自己破産をしたとしても、一定期間が過ぎて信用情報から自己破産した情報が消えれば、改めてカードローンなどを利用することが可能です。
とは言うものの、どうしてもお金が必要で、カードローンに申し込みをしよう!と思ったとしても、すぐに申込むのは控えたほうがいいでしょう。
このトピックではその「理由」と、対処法について解説していきます。
破産後は信用情報が「スーパーホワイト」になっている
なぜすぐにカードローンに申し込みをしないほうがいいのか。その理由は「スーパーホワイト」になっているからです。
さきほど、信用情報に事故・あるいは異動情報がある場合は「ブラックリスト入り」であると説明しました。
信用情報がブラックになっているとお金を借られない(仮に借りられるとしてもかなり難しい)わけです。
自己破産した場合、クレジットカードも利用できませんし、カードローンをはじめとしたローンも利用することが出来ません。
その期間は最長で10年と長いため、他の情報も含めて信用情報はまっさらになります。
この状態を「スーパーホワイト」と言います。
「スーパーホワイト」だとお金を借りづらい理由
それではなぜ、「スーパーホワイト」だとお金を借りづらいのでしょうか。
その理由は「信用情報がキレイすぎるから」です。
キレイなのに借りられない?と疑問を持つ方も多いでしょう。
今の日本では、大学生でもクレジットカードを持つことが少なくなく、かつ就職した後も含めればほとんどの方がクレジットカードを1枚くらいは持っていても不思議ではありません。
クレジットカードの支払い情報なども信用情報として登録されるため、信用情報がキレイすぎる人=これまで一切の現金主義で来た人、と言い換えることが出来ます。
しかし果たしてそのような人が、いきなりカードローンを利用するか?と言われると疑問がでてきます。
年齢が20歳と若ければスーパーホワイトであってもあまり懸念されないかと思いますが、30代くらいで一切これまでの信用情報がない…というのは、よほどの現金主義か、あるいはブラックでお金を借りることが出来なかったかのどちらかと考えるのが一般的なんです。
そのため「もしかしたらこの人は債務整理をしたことがあるのではないか?=お金を借りてもきちんと返済出来ない可能性があるのでは?」と敬遠されてしまうんです。
信用情報からはどちらか判断することは出来ませんので、リスクを取りたくない場合はどちらであっても審査に落としてしまう、というのは珍しくありません。
クレジットカードで「クレジットヒストリー」を作る
スーパーホワイトから脱却するためにはどうすればいいのか…色々と方法はありますが、「クレジットヒストリーを作る」のが一般的です。
クレジットヒストリーとはその名前の通り、クレジットカードを利用した履歴(ヒストリー)を残すことで、きちんと返済能力があることを証明するためのものです。
そのため、クレジットカードに申し込んで終わりではなく、クレジットカードで何かしらの買い物などをしきちんと仕払うといった履歴を残す必要があります。
この理由以外にも、クレジットカードがあったほうが何かと便利ですので、個人的には自己破産の情報が消えたのであれば1枚作っておくことをオススメしたいですね。
クレジットカードに申込む際の注意点
クレジットカードに申込む際、いくつか注意しておきたいポイントがあります。
- 一般カードで年会費無料のものがオススメ
- キャッシング枠は「0円」に
- リボ払いではなく一括払いが可能なカードで
まずは申込むカードですが、これはゴールドカードやブラックカードといったステータスが高いものではなく、年会費無料で作れる一般カードで十分でしょう。
あまり審査のハードルが高いものを選ぶよりは、より確実に作れるであろう方向に舵を切ることが大切です。
カードの中には「キャッシング枠」が設定できるものも存在します。
キャッシング枠はクレジットカードのショッピング枠と違い、ATMやキャッシュディスペンサーで直接現金を借入することが出来る枠となっています。
カードによってショッピング枠と別であったり共有されていたりと違いこそあるものの、共通して言えることは「キャッシング枠は0円を希望する」ことです。
キャッシング枠があるとつい使ってしまう可能性がありますし、審査に通りにくくなる可能性もあるからです。
そして最後、こちらも気をつけていただきたいポイントです。
最近のクレジットカードの中には支払い方法に「リボ払い」しか選べないものがあります。
リボ払いはいわゆるカードローンと一緒で、毎月の支払額は一定なものの完済までに時間がかかってしまいます。
カードを選ぶ際は「一括払い」が選択出来るものを必ず選ぶようにしましょう。そして自分が利用する時には「リボ払い」は選択しないようにしましょう。
ポイント3:お金を借りるのであれば、本当に必要な金額だけ!
続いてのポイント3、これは非常に大事です!借りるお金は「本当に必要な金額だけ」にしましょう。
もちろん、これにも理由があります。
必要な金額だけのほうが完済までが速い
借りる金額が少なければ少ないほど、完済までの期間は短くなります。
何を当たり前の、という話ですが、つい「お金を借りられる」となると欲を出して「もうちょっと足しておこう」と多めに借りてしまうことも少なくありません。
そこを敢えてきちっとすることで、同じ過ちをしないようにする効果も多少はあるのではないかと思います。
希望金額が少ないほうが審査に通りやすい可能性がある
カードローンに申込む際、希望金額が少なければ少ないほど減額されることなく、希望通りの額を借りることが出来ます。
また、審査の面でも希望額を多くするよりは少ないほうが必要書類も少なく出来ますし、審査に通りやすい可能性もあります(あくまで可能性ですが)。
ポイント4:お金の借り先は気をつけて選ぼう
最後のポイントは、「お金の借り先」。つまり、カードローンを申込む会社を選ぶ際に気をつけるべきポイントです。
選ぶポイントとして「金利」や「利便性」といった項目ももちろん重要ではありますが、破産した場合はさらに気をつけるべきポイントがある、というわけです。
破産時に精算したところに申込むのはNG
このような行動を取る方はそういないとは思いますが、自己破産をした時に利用していたカードローンからまた借りようと申込むのはNGです。
例えばプロミスとアコムからお金を借りていて、その上で返済できず自己破産をした場合、プロミスとアコムからお金を借りるのは避けるべきです。
といいますのも、信用情報としてはブラックではなくなっていたとしても、それぞれの会社の内部で管理している顧客リストなどには「自己破産による精算(返済なし)」といった情報が残っている可能性は非常に高いです。
その会社の目線で考えてみますと、お金を貸したにもかかわらず踏み倒され、さらに数年経ってからまた「お金を貸してくれ」と言われても、正直いい気分にはなりませんよね。
そのカードローンが気に入っていて、また使いたいなと思っていたのであれば残念ではありますが、素直に別のカードローンに申込むようにしましょう。
関連企業もNGになっている可能性がある
さらに気をつけておきたいのは、その関連企業もNGになっている可能性があることです。
特に銀行など金融機関のカードローンの場合、保証会社は消費者金融が担っていることが多いです。
保証会社は個人向け融資のノウハウが少ない金融機関の代わりに審査などの業務を請け負っている形ですので、保証会社内のブラックリストに名前が載っている人物である場合、審査に可決しない可能性があるんですね。
例えば「三井住友銀行カードローン」の貸付条件のひとつに「三井住友銀行指定の保証会社(SMBCコンシューマーファイナンス株式会社)の保証を受けられる方」とあります。
SMBCコンシューマーファイナンスとはプロミスのことです。社名自体はSMBCコンシューマーファイナンスが正式なのですが、カードローンのブランド名として「プロミス」が使われています。
つまり、プロミスにお金を借りていたものの自己破産した方の場合、プロミスが保証会社である三井住友銀行カードローンの利用できない可能性が(他に比べると)高い!と言えるんです。
保証会社が審査を行う場合、だいたいは貸付条件に保証会社の名前が記載されていますのでチェックしてみましょう。
意外と見落としやすいポイントなので、注意してくださいね。
破産してもまたお金を借りることは出来る。しかし注意したい点は多い
自己破産などで債務整理を行ったとしても、またお金を借りることは可能です。
しかし、破産する前と同じようにお金を借りてしまっては同じことの繰り返しになる可能性もありますから、より慎重に「お金を借りなければいけないものなのか?」と考える必要があると言えるでしょう。
また、お金を借りるにしても希望額を少なくするなど、返済が滞ることのないようにきっちりと自制した利用が必要だと言えます。
自己破産をした後、再度カードローンでお金を借りる人もいますし、決して二度とお金を借りてはいけないわけでもありませんが、一度精算したからこそ、よりきっちりと自分の手綱を締めてお金と向き合うことが大事、と言えるのではないでしょうか。