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カードローンの一括返済を求められる理由「期限の利益の喪失」とは?

「期限の利益」という言葉をご存知でしょうか?

実はカードローンをはじめ、住宅ローンなどの各種ローンを利用しているのであれば「期限の利益」のメリットを享受しているのですが、「全然わからない」「よく知らない」という方のほうが多いのではないかと思います。

期限の利益について知っていればお得になる、金利が低くなるというわけではありませんが、それを「喪失」してしまうこともあるなど、自身の契約に深く関連していることなので、知っておいて損は絶対にないものです。

各種ローンで必ず出てくる「期限の利益」とは、そしてそれを喪失したらどうなるのか?

実は民法でも定められているこの事項、これを機会に学んでみませんか?

言われてもよくわからない「期限の利益」って?

それでは早速「期限の利益」について解説していきましょう。

期限の利益、という文字からは一体「なんの期限のことなのか」「なんの利益なのか」が全くわかりませんよね。

定められた日まで支払わなくていいというのが「期限の利益」

期限の利益とは、「支払い期限を決めることで、期限がくるまでは返済を行わなくてもいいというお金を借りた側が得られる利益」のことを言います。

カードローンの返済でも、例えば毎月5日と返済日が決まっている場合は「毎月5日までは返済しなくてもよい」というのが期限の利益だと言うわけですね。

また、支払期限を決めることで、お金を貸した側から急に「全額返済して」と言われても「期限の利益があるから毎月の返済金額分以上返済する義務はない」と言うことも出来ます。これが「期限の利益」のメリットですね。

期限の利益については民法の第136条「期限の利益及びその放棄」にも定められています。

期限の利益がある代わりに「金利」が設定されている

しかし期限の利益があると、お金を借りる側が一方的に有利になると言えます。

なぜなら、お金を貸した側は一括請求をしたくても「期限の利益」によって守られているからです。

そこで登場するのが「金利」です。

お金を借りた側は期限の利益によって一括請求をされずに毎月返済をすればOKとなり、お金を貸す側は一括請求ができなかったり、返済中に死亡や病気、退職などで返済が滞ってしまうリスクを金利でカバーしていると言えます。

お金を借りている側は「返済は毎月でいい」というメリット、お金を貸す側は「毎月返済をしてもらう形でいいから、その分金利を取るよ」というメリットがある契約になっているんですね。

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さて、期限の利益がどういうものなのかはおわかりいただけたかと思います。

カードローンなどを利用している場合、絶対に気をつけたいのが「期限の利益の喪失」です。

期限の利益についてわかった今であれば、その意味もスムーズにおわかりいただけるのではないかと思いますが、このトピックでは「期限の利益の喪失」について解説していきます。

「期限の利益」を喪失すると一括返済をしなければならない

先程のトピックのおさらいになりますが、「期限の利益」とは「一定の期限を設け、その期限がくるまでは返済をしなくてもよい」ことを言います。

例えば100万円を借りて、毎月2万円ずつ、利息も含めて合計60回(5年)で返済すると契約を交わした場合、毎月決められた返済日までは2万円を返済しなくてよいことになります。

たとえ、お金を貸した会社が「一括返済して」と言っても、期限の利益によって守られているため、毎月2万円返済していればその額を超えて返済する必要はありません。

しかし、期限の利益を喪失してしまうと「毎月2万円を決められた日まで返済すればOK」という前提がなくなってしまうので、お金を貸した側は「貸したお金一括で返して」と言うことが出来るんです。

期限の利益を喪失することで、お金を貸した側は「わざわざ返済まで待つ必要がなくなった」とも言えるでしょう。

住宅ローンで期限の利益を喪失したら、家がなくなることも…!

カードローンであれば一括返済を求められるくらいですが、それでも相当なことであるのは間違いありません。

しかし住宅ローンで期限の利益を喪失した場合、もっと事態は深刻になってしまいます。

といいますのも、住宅ローンはカードローンと違い、借り入れている金額は文字通り桁が違うことも珍しくありません。2,000万円くらい借りることだって可能です。

そんな金額を一括で返済しろと言われても土台無理な話ですよね。

…となると、どうなってしまうのか。少しでも返済するためにせっかくの自宅を手放してお金を作らなければいけなくなってしまいます。自宅を競売にかけたり、任意売却を行うわけですね。

「期限の利益」はどんな理由で喪失しちゃうの?

想像しただけでもゾッとしてしまう「期限の利益の喪失」。

ここで気になるのが「どういった理由で期限の利益を喪失してしまうのか」ではないでしょうか。

最初にお伝えしておきますと、お金を借りてもきちんと返済をしていれば急に期限の利益を喪失することはありません。

ですが、喪失してしまう原因・理由を知っておくことは非常に大切ですので、ぜひ目を通してくださいね。

民法で定められている「期限の利益の喪失の事由」

期限の利益の喪失事由は、民法の137条でも定められています。

以下の3つの項目のいずれかに該当する場合、債務者(お金を借りている人)は期限の利益を主張することが出来ません。

  • 債務者が破産手続開始の決定を受けたとき
  • 債務者が担保を滅失させ、損傷させ、または減少させたとき
  • 債務者が担保を供する義務を負う場合において、これを供しないとき

条文はどうしても難しい印象があるので、ひとつずつもう少し詳しく見ていきましょう。

まず1つ目、破産手続開始の決定を受けたとき。

これは非常にシンプルですね、お金を借りた人が返済出来ず破産したときになります。

2つ目の担保の滅失…などについては住宅ローンを例にするとわかりやすいでしょう。

住宅ローンを利用するときは必ずといっていいほど担保や保証人を立てますが、住宅ローンを完済していないのに勝手に建てた家を潰したような場合が該当します。

担保が担保として機能しなくなったので、期限の利益が喪失される理由になるということですね。

3つ目は、文章は少々ややこしいですが、内容としては非常に明快で「担保や保証人をたてて」とお金を貸す側が言っているのに保証人及び担保を用意しない場合に該当します。

これらのいずれかに該当した場合は期限の利益の喪失の条件を満たしていることになりますので、一括請求をされても文句が言えない立場だと言えますね。

各借り先の規約に該当した場合も喪失事由になる

この3つの条件(?)に該当した場合のみ期限の利益の喪失になる…というわけではありません。

民法はあくまで「最低限の保障」と言えるもので、実際に期限の利益の喪失事由として取り上げられるのは、消費者金融や銀行といった、お金を貸す側が提示している「規約」に記載されている内容である可能性の方が高いと言えます。

「勝手に規約で喪失したことになっていいのか!」と思われるかもしれませんが、申込みの際に「規約に同意するかどうか」は必ず聞かれますし、申込み前に規約の内容もしっかりとチェック出来るようになっています。

規約に同意するというのは「この条件に納得できるから申し込む(利用する)ね」という意味合いになります。

ですので、後から「そんなのは知らなかった」と言っても意味がないといいますか「知らないのになんで規約に同意したの?」と言われるだけでしょう。

規約における利益の喪失の事由の具体例

「規約に利益の喪失の理由が書いてあるといっても、具体的にどんなこと?」と気になる方も多いかと思います。

今回は例として大手消費者金融の「プロミス」のプロミスカード規約を参考として「期限の利益の喪失」の理由となるものをピックアップしてみましょう。

プロミスカード規約には第25条「期限の利益の喪失」が設けられており、そこにしっかりと「どんなことをすれば期限の利益を喪失するのか」が記載されています。

まず、以下のいずれかに該当した場合は「プロミスからの通知がなくても」期限の利益を喪失し、債務の全額を支払うと定められています(第25条1項)。

  • 1)支払停止となったとき
  • 2)強制執行の申立があったとき
  • 3)破産、民事再生手続開始等の申立があったとき
  • 4)債務者の所在がプロミスにとって不明となったとき
  • 5)本規約にもとづく債務であるかを問わず、プロミスに対する債務の一つでも期限に支払わなかったとき
  • 6)プロミスに提出した書面に虚偽の記載があったとき、または収入、支出等について虚偽の申告があったとき
  • 7)第28条第1項第1号に定めるいずれかに該当することが認められたとき、同第2号に定めるいずれかに該当する行為を行ったとき、または同各号の表明について虚偽の申告が判明したとき
第7号について補足しますと、プロミスカード第28条は「反社会勢力の排除」となっており、暴力団など反社会勢力と関係があったり、暴力的な行為を行っていた場合(あるいはプロミスに対して隠していた場合)、期限の利益を喪失するという意味です。

また、以下のいずれかに該当した場合、プロミスは請求通知をする上で期限の利益を失う、としています(第25条2項)。

  • 1)届出事項の変更を届出なかった場合、または第32条に規定されたカードの取扱に違反した場合で、それが重大なものであったとき
  • 2)信用状態が悪化し、当社が債権を保全するために必要と認めたとき

民法の3つに比べるとカード規約の方が内容について非常に細かく決められており、さらに通告なしで期限の利益を喪失することも多いなど、厳しい処置になっていることがおわかりいただけるかと思います。

今回のプロミスは例ですが、他のカードローン規約も似たようなもので、プロミスが特別というわけではありません。

期限の利益を喪失しないために気をつけるべきポイントは?

カードローンなどを利用する上で喪失してはならないとも言える「期限の利益」。

普通に返済していれば喪失することはまずありませんが、それでも心配なのが人情というものです。

最後に、お金を借りている状態で期限の利益を喪失しないようにするには、どのようなことに気をつければいいのかをご紹介したいと思います。

毎月きちんと返済する(延滞をしない)

基本にして最重要と言える項目がこちらです。

毎月決められた金額をきちんと返済していれば、期限の利益が失われることなく完済まで行くことが出来ます。

仮に延滞をしてしまうと、プロミスの規約例で言えば第25条1項第5号に該当してしまい、期限の利益の喪失事由に該当してしまいます。

1日、2日程度の延滞ですぐに喪失の対象になることはありませんが、大体60日~90日の延滞になると期限の利益を失う可能性が高くなります。

延滞してしまうと期限の利益を失うだけでなく、信用情報でも「ブラック」となってしまい、向こう数年間はカードローンやクレジットカードの利用・新規申し込みができなくなってしまいますので、延滞は絶対に避けましょう。

信用情報とはお金にまつわる客観的な情報のことで、カードローンやクレジットカードなどの審査で必ずチェックされるものです。

信用情報機関に加盟している会社で情報を共有しているので、業界すべてに情報が回ることになります。

信用情報に「事故情報(異動情報)」として登録された場合「金融ブラック」となり、その情報が消えるまでお金を借りるのがほぼ不可能となります。

仮に返済がつらい、返済が無理かも…と思ったら、すぐに連絡することが大切です。

また、期限の利益の喪失通知が来た場合も連絡して相談することで解決出来ることもありますので、連絡することは非常に大切なんです。

住所など変更があったらきちんと更新する

引っ越して住所などが変わった場合、きちんと会員情報の更新を行いましょう。

ついつい後回しになってしまったり、忘れてしまいがちですがこれを怠ると第25条1項第4号、及び第25条2項第1号に該当してしまい、期限の利益を喪失してしまう可能性があります。

ウソの情報を書かない

カードローンは担保や保証人がない「信用貸し」のため、虚偽の情報で申し込んだ場合や虚偽の書類を提出した場合のペナルティは非常に大きいと言えます。

少しでもお金を多く借りたいからと年収の金額を増やしたり、アリバイ会社に頼んでウソの確定申告書を提出するといったことは詐欺罪にも該当しますので絶対にやめましょう。

守られている「期限の利益」。失わないように気をつけよう!

お金を借りても一括返済しなくて大丈夫なのは、契約などで「期限の利益が守られているから」…当たり前のように感じていることも、その仕組がわかると「実は結構すごい仕組みだったんだな」なんて思ってしまいますよね。

ローンの場合は金利も絡んでくるため、Win-Winという関係ではありますが、それでも一括返済の必要なく、毎月決まった金額を返済していればOKなのはカードローンなどの良さ・魅力のひとつだと言えます。

ただし、その期限の利益は永久に保障されるものではなく、民法や規約に反するようなことがあれば喪失してしまい、そうなると一括返済を求められても文句は言えません。

申し込む前にはきちんと規約に目を通し、どのような条件で期限の利益が喪失となるのかは知っておくことが大切です。

とはいえ、毎月きちんと返済を行っていれば期限の利益を失うようなことはありませんから、安心してくださいね。

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