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カードローンだけじゃない!知っておきたい、国からお金を借りる方法

お金が必要、そんな時にどこから借りるか…友人や親から借りるという選択肢もありますが、多くの方は「カードローンを契約してお金を借りる」という選択肢が浮かぶのではないでしょうか。

しかし、他にも借り先はあります。それが「市や国」です。

国からお金を借りるなんてそんなことできるの!?と驚かれるかもしれませんが、特に生活するお金にも困っているという方であれば、カードローンよりも国からお金を借りる方が絶対にオススメなんです。

しかしあまり知られていない制度なので、どのような融資があるのかも、利用方法もわからない方も多いかと思います。

そこで今回は、国から借りられる個人融資について徹底的に解説していきます!

実は国は様々な融資制度を用意している!

全然知らない!という方も多いと思うのですが、実は国は様々な融資制度を用意しています。

事業者向けの貸付から、教育ローンや生活資金といった馴染みやすい貸付まで、その種類も豊富です。

種類が豊富な分「どれを使えばいいのかわからない!」というデメリットも生まれてはしまうのですが、絶対に知っておいて損はない知識かと思います。

「生活福祉資金貸付制度」を利用してお金を借りる

個人の生活に関する貸付であれば「全国社会福祉協議会」の個人向け融資「生活福祉資金貸付制度」の利用を検討することになるでしょう。

この制度における貸付の種類は

  • 総合支援資金
  • 福祉資金
  • 教育支援資金
  • 不動産担保型生活資金

の主に4種類のカテゴリにわかれており、そこからまた細分化される流れになっています。

今回は、この貸付制度をメインに解説していきたいと思っています。

シングルマザー・ファーザーも公的融資が受けられる

20歳未満の自動を扶養している配偶者のない女子・または男子…つまりシングルマザー・シングルファーザーの方を対象にした公的融資「母子父子寡婦福祉資金貸付金制度」もあります。

貸付の種類も多く、以下の表は一部をピックアップしたものですが、事業者向けのものから生活に必要な資金までなんと12種類の貸付があります。

医療介護資金医療または介護(受ける期間が1年以内に限る)
を受けるために必要な資金

医療は34万(特別医療は48万)、介護は50万まで
保証人ありで無利子、なしで1%

結婚資金

子供の結婚資金

300万円まで借り入れ可
保証人ありで無利子、なしで1%

事業開始資金 事業を開始するための設備等の購入資金

個人であれば285万円まで借り入れ可
保証人ありで無利子、なしで1%

事業継続資金 現在営んでいる事業を継続するために
必要な商品・材料などの購入資金個人であれば143万円まで借り入れ可
保証人ありで無利子、なしで1%
修学資金 高校・大学・高専・専修学校などの
就学に必要な資金月額5万2000円~9万(就学先で異なる)
一定期間利息のみ支払いでOK
生活資金 知識技能を習得している間、医療または
介護を受けている間、母子または父子家庭になって
7年以内の方の生活を安定・継続する間
あるいは失業中の生活を安定・継続するのに
必要な生活資金一般は月額10万3000円、
技能(習得中)は月額14万1000円
保証人ありで無利子、なしで1%
転宅資金 引っ越しのために必要な資金

26万円まで借り入れ可
保証人ありで無利子、なしで1%

最寄りの地方公共団体の福祉窓口にで説明・受付していますので、条件に該当する方は一度訪ねてみてはいかがでしょうか。

年金を担保としてお金を借りることもできる

年金を担保にお金を借りる公的融資もあります。

ひとつは「独立行政法人福祉医療機構」の「年金担保貸付事業・労災年金担保貸付事業」です。

国民年金だけでなく厚生年金や船員保険年金などを担保にすることができ、低金利で生活資金などの貸付が利用できるようになっています。

もうひとつは「日本政策金融公庫」の「恩給・共済年金担保融資」です。

こちらは生活資金だけでなく事業資金や住宅などの資金にも利用できます。

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世帯の立ち直りをサポートする「総合支援資金」

それでは今回メインで解説する、「生活福祉資金貸付制度」についてさらに詳しく見ていきましょう。

先程も触れましたが、この制度は大きく4種類に項目がわかれており、さらにいくつか細分化されています。

その中でも「教育支援資金」と「不動産担保型生活資金」はカードローンと比較しても毛色が違う、あるいは利用しづらい部分ではありますので今回は解説はせず、「総合支援資金」と「福祉資金」について解説していきますね。

まずは「総合支援基金」についてです。

  • 生活支援費
  • 住宅入居費
  • 一時生活再建費

の3種類にわかれます。

総合支援資金の利用要件

総合支援資金の貸付対象となる世帯(参照:東京都社会福祉協議会)は、

  • 失業など、日常生活全般に困難を抱えており、生活のたて直しのために継続的な支援(就労支援・家計支援など)と生活費及び一時的な資金を必要としていること
  • 貸付を行うことにより自立が見込まれる世帯であること
  • 低所得世帯であり、収入の減少や失業のために日常生活の維持が困難であること
  • 借入申込者本人の確認が可能であること
  • 現在住居を有していること、または住居確保給付金の申請を行い、住居の確保が確実に見込まれること
  • 支援を行うことにより償還(返済)が見込めること
  • 失業給付など、他の公的給付または公的な貸付が受けられず、生活費を賄うことができないこと

というように、失業などの何らかの理由で生活の維持が困難な低所得帯の方の生活を救うための貸付(支援つき)といった感じになっています。

ちなみに「世帯」の定義ですが、生活福祉資金貸付制度においては「同じ住居で生活し、生計を同一にしている」こととしています。

なので、一人暮らしの方は実家に家族がいてもご自身のみで「世帯」となるわけですね。

生活支援費

「生活支援費」は生活を再建するまでの間に必要とされる生活費用を貸し付けるもので、原則3ヶ月、最長で12ヶ月貸付が行われます。

借りられる限度額や金利は以下の表の通りです。

多少補足しておきますと、据置期間は元金の返済をしなくても大丈夫な期間(利息のみの支払いでOK)のことを言い、償還期限は返済期限と同じイメージでとらえていただければOKです。

金利につきましては、全てに共通して「保証人ありなら無利子、なしなら1.5%」と非常に低金利(または無利子)で利用することが可能です。

貸付限度額 二人以上:月20万円以内
単身:月15万円以内
貸付期間:原則3月(最長12月)
据置期間 最終貸付日から6月以内
償還期限 据置期間後10年以内
保証人 原則必要(なしでも可)

住宅入居費

2つ目の「住宅入居費」は、敷金や礼金といった、賃貸契約を結ぶ際に必要な費用を借りられるもので、お金の使いみちが限定されている貸付制度になっています。

貸付限度額 40万円以内
据置期間 最終貸付日から6月以内
(生活支援費と合わせて借りている場合、
生活支援費の最終貸付日を参照する)
償還期限 据置期間後10年以内
保証人 原則必要(なしでも可)

一時生活再建費

「一時生活再建費」は、生活支援費よりもライトなものになっており、

生活を再建するために一時的に必要、かつ日常生活費で賄うことが困難な費用…つまり、現在の収入では足りないけれど一時的に必要なお金がある、という場合です。

生活支援費と違うのは月額ではなく、1回の借り切りという点でしょう。

貸付限度額 60万円以内
据置期間 最終貸付日から6月以内
(生活支援費と合わせて借りている場合、
生活支援費の最終貸付日を参照する
償還期限 据置期間後10年以内
保証人 原則必要(なしでも可)

申し込むために必要な書類

生活支援資金を申し込むために必要な書類は以下のように、非常に多いです。

東京都社会福祉協議会の資料を参考にしていますので、各地域によって多少違う部分があるかもしれません。

  • 借入申込書
  • 住民票の写し(世帯全員が記載された発行3ヶ月以内のもの)
  • 本人確認書類
  • ハローワークの相談を受けたことの確認書類
  • 現在の世帯収入を確認するための書類
  • 他の公的給付・公的貸付などの公的支援を受けている場合、その確認書類
  • 世帯の状況が明らかになる書類
  • 連帯保証人(いる場合)の収入証明
  • 債務の総額・返済額・返済状況がわかる書類(債務がある場合)
  • 債務整理後の現在の状況がわかる書類(債務整理をしたことがある場合)
  • 資金種類ごとに必要な書類

一般的なカードローンと違うのは「世帯の支援」であるため、自身だけでなく世帯すべての状況を話す、開示する必要があるところです。

生活を立て直すための貸付なので、世帯で困っていなければ対象になりづらいということですね。

申し込みから利用までの流れ

生活支援資金の、申込みから利用できるようになるまでの流れをご紹介します。

ハローワークで確認書類の作成 求職申込み受理状況、雇用保険・雇用施策の
該当状況、利用状況の確認を行います。また、「求職申込み・雇用施策利用状況確認票」
に記入・捺印してもらいます。
(必要書類となるため)
各市区等の
自立相談支援機関に相談する
総合支援資金についての相談をします。
相談員と面接し、現在の状況を説明したり、
制度について説明をしてもらいます。この時に、住居を引っ越さなければならない
または住居がない場合は、「住居確保給付金」の
申請を行います。
総合支援資金の申込み 相談によって申込みが適切だと
相談員が判断した場合、申込みが行えます。必要書類を揃え、社会福祉協議会に申込みをします。
審査・審査通知 審査の結果、支援すると判断された場合
「貸付決定通知書」や「借用書」などが届きます。
生活支援費等
借用書提出
「借用書」などに必要事項を記入・捺印などし
社会福祉協議会に提出します。

好きに申し込めるわけではなく、まずは自立支援相談機関に相談し、面談した相談員が「この人は総合支援資金が必要だ」と判断されないと申し込みさえすることが出来ません。

さらにその後改めて社会福祉協議会で審査が行われますので、2回審査があると言っても過言ではありませんね。

注意すべきは、申し込みから利用までだいたい「1ヶ月」かかってしまうことです。

カードローンと比べるとずっとお金を借りられるようになるまで時間がかかるので、注意が必要です。

「福祉資金」のうち「福祉費」

続いては2種類ある「福祉資金」のうち「福祉費」です。

福祉費は、生活支援資金と違い、日常生活に困窮しているというわけではないものの、目的のためにお金が必要といういわば「目的ローン」を利用したい!と思っている方向け…と思っていただけたらいいでしょう。

貸付対象となる世帯

ただ、こちらも個人が対象ではなく「世帯」が対象です。

そして対象となる世帯は、以下の3種類のうちいずれかである必要があります。

低所得者世帯 世帯の収入が、下記表の収入基準を超えない世帯
障害者世帯 「身体障害者手帳」、「愛の手帳」、「精神障害者保健福祉手帳」の
いずれかの交付を受けた方の属する世帯
あるいは障害者総合支援法による障害者福祉サービスの
受給者証を所有している
高齢者世帯 日常生活上、療養または介護を必要とするおおむね65歳以上の
高齢者が属し、かつ収入が下記の収入基準を超えない世帯

収入基準の表はこちらです。こちらは平成30年度のものとなり、毎年改定されますのでご自身でチェックされることをおすすめします。

世帯人員 1人 2人 3人 4人 5人
低所得世帯 191,000円 272,000円 335,000円 385,000円 425,000円
高齢者世帯 223,000円 402,000円 519,000円 572,000円 638,000円

福祉費の種類と貸付額

福祉費の種類は非常に多く、それぞれ貸付額も違います。

金利につきましては、全てに共通して「保証人ありなら無利子、なしなら1.5%」と生活支援資金と同様となっています。

また、据置期間は原則として6ヶ月以内です。

全部で14種類あるのですが、今回は一部のみご紹介します。

資金の目的 貸付上限額 返済期間
出産・葬祭に必要な経費 50万円 3年以内
住居の転移などに必要な経費 250万円 8年以内
就職の支援に必要な経費 50万円 3年以内
介護サービス・
障害者サービスを受けるのに
必要な経費
170万円 5年以内

申請のために必要な書類

福祉費の申請のために必要な書類は以下の通りです。

  • 借入申込書
  • 住民票の写し(世帯全員分、発行3ヶ月以内のもの)
  • 借入申込者の世帯収入証明
  • 連帯借受人の収入証明(設定している場合)
  • 連帯借受人の住民票の写し(借受人と別世帯の場合)
  • 連帯保証人の収入証明(設定している場合)
  • 連帯保証人の住民票の写し
  • 資金種類ごとに必要な書類

一見多いように見えますが、連帯借受人及び連帯保証人を設定しない場合は、借入申込書と住民票の写し、世帯収入証明と資金種類ごとに必要な書類を用意すれば問題ありません。

資金種類ごとに必要な書類とは、例えば出産費用であれば母子手帳のような、お金を借りる目的が証明できるものが該当します。

申し込みから利用までの流れ

申し込みから利用までの流れは、生活支援資金に似ています。

こちらも残念ながら、申込みから実際の借入まではだいたい1ヶ月ほどの時間が必要になります。

相談する 社会福祉協議会または民生委員に相談します。
世帯の状況や収入などについて話す必要があります。相談することにより、申込みが適切だと判断された場合
申し込み書類の準備を始めることになります。
民生委員の面接 民生委員が自宅を訪問し、面接します。
資金借入の必要性があるか、
世帯の状況などについての聞き取り調査をします。
申し込み 必要書類を社会福祉協議会に提出します。
審査・審査結果通知 審査を行い、その結果を本人に連絡します。

貸付が決定された場合、借用書等を作成し、
社会福祉協議会に提出すれば完了です。

一番早く借りられる「緊急小口資金」

福祉資金の中に入る「緊急小口資金」は、なんらかの理由で一時的に生活費に困窮した場合に利用できる制度で、他の貸付に比べて早く借りられるのが特徴です。

とはいえ、これも個人が対象ではなくあくまで「世帯」が対象となります。

対象となる世帯

対象となる世帯の要件は以下の通りです。

  • 低所得世帯であること
  • 緊急かつ一時的に生計維持が困難であること
  • 資金交付日の翌月から3ヶ月目より開始となる償還(返済)が可能な見通しが立つこと

これまでに比べて非常にシンプルです。

低所得帯であることは、ひとつ前の「福祉費」の表における「低所得世帯」を参照してください。

例えばリストラにあい収入が激減してしまった、火事で財産が燃えてしまい一時的に生活費が必要…といった時に利用できる貸付制度です。

10万円以内の借入が可能

緊急小口資金は、10万円の範囲内で借入が可能です。

緊急ということもあり、無利子で利用でき保証人も不要なんですよ。

貸付限度額 10万円以内(1,000円単位)
据置期間 最終貸付日から2ヶ月
償還期限 12ヶ月以内
金利 無利子

申請に必要な書類

緊急小口資金の申請に必要な書類はこちら。福祉費と似ていますね。

  • 借入申込書
  • 住民票の写し(世帯全員分・発行後3ヶ月以内)
  • 本人確認書類
  • 健康保険証
  • 借入申込者の世帯の収入証明
  • 借用書
  • 借入申込者の実印と印鑑登録証明書
  • 預金口座振替依頼書
  • 借入理由を確認できる書類
  • その他

返済が振替で行われるので、そのための書類が必要という点が特徴でしょうか。

ほかは福祉費と変わらないと思っていただいてもいいでしょう。

「その他」につきましては、状況に応じて必要な書類が追加される可能性があるよ、ということを示しています。

申し込みから利用までの流れ

基本的には他の貸付制度と流れは変わりません。

が、申込みから資金交付まで最短で5営業日で完了するという速さは他の貸付制度に比べて群を抜いているといえるでしょう。

相談する 最寄りの自立支援相談機関に相談しに行きます。
最初は電話で相談(申し込み)をし、
必要であれば収入に関する書類などを持っていきます。相談した上で、申込みが適切だと判断された場合は
申し込みの準備に入ります。
必要書類を用意しましょう。
申し込み 借入申込書をはじめ、必要書類を
社会福祉協議会に提出します。
審査・貸付決定 審査が行われます。
審査の中で必要と判断された場合、
追加での聞き取りや書類の提出を求められることが
あります。審査結果は合否どちらであっても本人宛に連絡されます。
資金交付 貸付が決定した場合、決定日の翌営業日に
借入申込者の本人名義口座に資金が交付されます。

生活に困窮しているなら国から借りる方が安心!デメリットには注意

「もしものためにお金を借りる手段を確保しておきたい」という方や、「普段から生活に困っているわけではないけど、ちょっとした時にお金を借りられると便利だな」と考えている方であればカードローンがオススメです。

しかし日々の生活にも困窮していたり、収入が少なくて満足な生活が送れなくて困っている、お金を借りても返済できるかどうか不安…というような方は、国からお金を借りることも視野に入れてみてはいかがでしょうか。

無利息、あるいは1.5%という超低金利でお金を借りられることはそうないですし、生活支援資金であれば金銭面以外、就職などの支援もしてくれます。

ただ、必要書類が多かったり、緊急小口資金を除けば資金交付されるまでだいたい1ヶ月かかってしまったり、相談機関に出向かないといけない(その時間がないと厳しい)などのデメリット及び注意点もある点はしっかりと心に留めておくべきポイントでしょう。

今すぐに利用する必要はなくとも、これから先もしかしたら利用する機会があるかもしれません。

知らないまま過ごすより、知って相談しておいたほうがよかったという結果を生み出す可能性もありますから、お金を借りる手段はローンだけでなく、国からの支援という形もあるんだということを覚えておいてくださいね。

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