キャッシングで借りたお金を減らせる!「任意整理」について学ぼう
「いくつかのカードローンからお金を借りているけれど、だんだん返済がキツくなってきたな…」と感じた時、それは債務整理を考えたほうがいいサインかもしれません。
まだ返済できているのならいいですが、急な出費が重なるなど、予想が出来ない事態により返済が出来ずに滞納しつづけてしまう…そんなこともあるからです。
また、既に返済が滞っていたり、このままじゃ破産してしまうという状況であれば、一刻も早く債務整理を行うべきでしょう。
債務整理は主に3種類ありますが、一番手軽と言えるものが「任意整理」です。
今回の記事はこの「任意整理」を取り上げ、利用することでどのようなメリットを得られるのかなどを解説していきます。
一番利用率が高い任意整理。どういう内容?
任意整理は他の債務整理である「自己破産」および「個人再生」とはまた違う特徴を持っており、債務整理の中で一番利用されている方法でもあります。
まずは任意整理とは、どのような債務整理なのかをご紹介しましょう。
任意整理は「和解」によって借金を減額する方法
任意整理は、直接債権者…具体的にはカードローン会社などと話し合い、将来の利息をカットしたり金利の引き下げなどの和解を成立させて、返済の負担を引き下げる方法です。
債務者(お金を借りている人)と債権者(お金を貸している人・会社)が直接話し合い和解を成立させるというのが他の2つの方法と違う最大の特徴と言えるでしょう。
唯一裁判所を通さない方法
自己破産及び個人再生の場合は、裁判所に申立を行い認めてもらう必要があります。
しかし任意整理は裁判所を通さず、直接話し合う形となっています。
自己破産との違いはかなり多い
他の債務整理との比較も簡単にですが行っていきましょう。
まずは自己破産と任意整理の違いですが、この2つの違いはかなり多い(大きい)と言ってもいいくらいです。
項目 | 自己破産 | 任意整理 |
---|---|---|
裁判所への申立 | 必要 | 不要 |
減額対象 | 全て | 任意で選べる |
減額幅 | 全額 | 利息など少なめ |
ブラックリスト | 載る | 載る |
官報への掲載 | あり | なし |
職業制限 | あり | なし |
裁判所への申立はもちろん、減額率については雲泥の差といってもいいレベルです。
自己破産であれば税金を除く全ての債務の支払い義務がなくなりますが、任意整理は支払い義務まではなくならず、あくまで減額するだけです。
ただその分自己破産はデメリット(ペナルティ)も多く、官報への掲載や職業制限などもあります。
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個人再生と任意整理も細かいながらも差がある
続いては個人再生と任意整理の違いです。
個人再生と任意整理は、どちらも自己破産と違いあくまで「借金を減額する」という行為は同じですが、それでも細かな違いが色々とあります。
項目 | 個人再生 | 任意整理 |
---|---|---|
裁判所への申立 | 必要 | 不要 |
減額対象 | 住宅ローン以外全て | 任意で選べる |
減額幅 | 債務の5分の4~10分の9 | 利息など少なめ |
ブラックリスト | 載る | 載る |
官報への掲載 | あり | なし |
職業制限 | なし | なし |
個人再生は裁判所への申立が必要な分、減額される金額もかなり大きくなります。大体支払う金額は5分の1~10分の1程度まで抑えられるのは大きいでしょう。
任意整理は個人再生に比べると減額幅は小さく、あくまで返済しやすいようにするくらい…と思っていただけたらいいかと思います。
その代わり官報への掲載であったり、減額対象を選べるなど小回りが利くメリットがあるとも言えますね。
減額する対象を選べる!任意整理のメリット
続いては任意整理を行うことによって得られる「メリット」についてご紹介していきます。
他の債務整理にはない、特徴的なメリットもありますよ。
借金を減額できる
債務整理ですので当然のメリットだと言えますが、現在よりも借金を減額することが出来ます。
また、借り入れしていた時期によっては、利息の再計算により過払い金が発生することもあります。
過払い金が発生した場合、借金の減額どころかこれまでの借金がなくなりむしろお金を返してもらえた、なんて可能性もあるんです。
過払い金が発生するのは、「グレーゾーン金利」の時代に取引を始めた借り入れが対象です。
具体的には金利が20%を超えている場合は過払い金請求が出来る可能性がありますが、18%以下の場合は過払い金が発生している可能性はほぼない、と言ってもいいでしょう。
過払い金がない場合、今後支払う利息のカット(支払わなくていいようにする)や、金利の引き下げの交渉によって現在抱えている借金を減額していくことになります。
減額する債務を選ぶことが出来る
任意整理の大きな特徴は、「減額する債務を選ぶことが出来る」ことです。
例えばカードローンと車のローンの返済が出来ずに債務整理を考えているとしましょう。
自己破産や個人再生はカードローンも車のローンも同じ債務として扱われるため、どちらも減額(あるいは免除)されますが、車のローンに保証人がいる場合、保証人に請求が行ってしまいます。
しかし任意整理であれば、保証人がいる車のローンの債務整理は行わず、カードローンのみ債務整理を行う、ということが可能です。
もちろん複数のカードローンから借りているといった場合でも、A社は対象にせず、B社とC社は任意整理を行う、といったことも出来ます。
減額率は低いものの、自分で整理出来る債務を選ぶことが出来るというのは任意整理の大きな特徴であり、メリットだと言えるでしょう。
他の債務整理に比べて必要書類が少なめ
任意整理は、他の2つの債務整理に比べて必要書類(もの)が少ないのもメリットのひとつです。
大体は以下のようなものが必要となりますが、依頼した弁護士事務所によってはもう少し書類が増える、あるいは減ることがあるでしょう。
身分証明書 | 運転免許証・パスポートなど |
---|---|
印鑑 | 契約書類の押印などに必要 |
借入契約書 | 整理する対象の契約書。 なくてもいいがあるとスムーズ |
クレジットカード・ キャッシュカード |
現在持っているもの全て。 債権者に返還するために必要 |
住民票 | 本籍が載っているものが必要 |
債権者一覧表 | 借り先の情報をまとめたもの。 任意整理をする上で重要な情報源となる |
預金通帳 | 現状を把握するために求められることがある |
とはいえ入手難度が高いものは少ないかと思います。
自己破産や個人再生の場合、これらにプラスしてローンの契約書や保険の契約書など、必要書類がさらに増えていきます。
家族にバレにくい
任意整理のメリットのひとつは、利用しても家族にバレにくいことです。
というのも、他の2つの債務整理は必要書類を集めるにあたって、どうしても家族にバレやすい状況になるからです。
例えば個人再生では、家計収支表を提出しなければならず、自身だけではなく家族全体の収支を把握する必要があるなど、自身にとどまらない範囲になっています。
任意整理の場合は必要書類といっても自身の周りのものだけで、家族の分まで及ぶことはありません。
そのため、家族に内緒で債務整理をするのであれば、任意整理がベストだと言えます。
和解に応じない可能性も!?任意整理のデメリット
メリットの次はデメリットも見ていきましょう。
物事の多くはメリットと共にデメリットがあるもので、それは任意整理も例外ではありません。
任意整理をする際に、知っておきたいメリットについてこのトピックでは解説していきます。
1つの借り入れが140万円を超えていると費用が高くなる
任意整理では、弁護士ではなく司法書士の方が担当することが多いです。
その理由として、司法書士の方が担当する方が費用が安く抑えられるという(債務者にとっての)メリットがあるからです。
しかし、司法書士が対応出来るのは1つの債権者が主張する金額が「140万円以下」の場合のみです。
少々ややこしいのですが、借りている金額が130万円であっても、債権者(お金を貸したほう)が「債権として主張するのは145万円だ」という場合、司法書士では対応が出来ず、弁護士が対応しなければならなくなります。
そして、司法書士ではなく弁護士が対応する(担当になる)場合、その費用は上がってしまうので注意が必要です。
補足ですが、これは「借入1つにつき140万円以内」です。
例えば5社からお金を借りていて、それぞれの債権が140万円以内である場合、全て司法書士が受け持つことが出来ます。
一定期間お金が借りられない(ブラックリスト)
債務整理を行うことで、信用情報に傷がつきます。
そのため一定期間
- 新規の借入不可
- クレジットカード・割賦販売の利用不可
- 現在利用しているカードなどの停止
といったペナルティを受けることになります。
任意整理の場合は、事故情報が5年間登録されることになりますので、任意整理が行われてから5年間はローンなどの利用、クレジットカードの利用が出来ません。
さらに、それらの情報が消去されたとしても、今度は信用情報に履歴(クレジットヒストリー)がないことを理由にクレジットカードが新規作成出来ないということもあります。
とはいえ一生お金を借りることが出来ないわけではありませんので、安心してください。
減額率が債務整理3種の中で一番低い
手続きが一番簡単である以上仕方がない点ではありますが、減額される金額が債務整理の中で一番少ないです。
自己破産では税金以外全て、個人再生でも5分の1~10分の1まで減額出来ますが、任意整理はそれらに比べるとかなり少ないと言えます。
ただその分ペナルティも少ない(軽度)ため、継続的に返済出来る経済状況であれば任意整理を選ぶのがベストとアドバイスされることが多いでしょう。
任意整理に応じてくれない可能性もある
任意整理は、あくまで債務者と債権者の「和解案」として減額や金利の引き下げなどがあるもので、裁判所に認めてもらうものではありません。
そのため、債権者全てが絶対に任意整理に応じるというわけではなく、中には任意整理の和解に応じてくれないところもあります。
もしくは応じてくれてもこちらが希望する減額に達しない場合もあるでしょう。
交渉で行われる減額のため、このようなケースはたまにあります。
どれくらい時間がかかる?任意整理手続きの流れ
最後のトピックでは、任意整理の手続きや完了するまでの流れをご紹介します。
「大体どのくらいで任意整理が完了するのか?」といった疑問に答えますと、債権者の数や交渉の進み具合にもよりますが、大体3ヶ月~6ヶ月程度見ておけばいいかと思います。
ステップ1:相談する
まずは弁護士事務所などに相談します。
無料相談をしているところもありますし、法テラスなど無料で相談出来る機会にまずは相談、という気持ちで行ってみてもいいでしょう。
相談する際は、自身の借入状況や契約書などがあると、より的確なアドバイスを貰える可能性がありますので、取ってある場合は持参することをおすすめします。
相談の段階でどの程度の費用がかかるのか、任意整理を行うことによってどう変わるのかといった詳細を聞くことも出来ます。
ステップ2:契約する(弁護士・司法書士の受任)
相談した上で「おまかせしよう」と思ったら、弁護士または司法書士と委任契約を結ぶことになります。
この契約を結ぶことで弁護士・司法書士が間に入って交渉をしてくれます。
弁護士・司法書士側から受任通知を債権者に出します。これを出すことで、一時的に返済をしなくてもよくなります。取り立ても来ません。
が、支払いをしなくていい時期(和解交渉中)に返済中に何かあっても大丈夫なようお金をある程度ためておく(プールする)ことが推奨されていますので、無駄遣いはせずある程度ためておきましょう。
ステップ3:引き直し計算・正式な債権額の決定
任意整理する借入について、債権者から取引履歴を開示してもらい、現在の法定金利に基づいたものになっているか計算のし直し(引き直し計算)を行います。
その上で過払い金が出てきた場合は請求することになります。
取引履歴を開示し、正式な債権額を改めて計算します。
この取引履歴の開示に時間がかかるため(業者によっては開示を嫌がることもあります)、1ヶ月以上かかることも珍しくありません。
ステップ4:和解交渉を行う
再計算した債権額をもとに、利息カットや金利の引き下げといった和解案を債権者に対して提示します。
そこには毎月の返済額や返済期間も合わせて記載されていることが殆どで、返済期間は基本的に3年(36回)、長くても5年(60回)で、基本は36回の3年で完済出来るような返済計画となっています。
ステップ5:和解契約締結
債権者と和解契約を締結すれば、任意整理の手続きは完了です。
和解契約書に記載されている支払開始日から、和解案にて決定された金額を返済していくことになります。
任意整理は自分でも出来る!?
任意整理を考えている方の中には「自分で任意整理の手続きをしたい」と考えている方もいるかもしれません。
司法書士、あるいは弁護士費用がかかるのは事実ですし、他2つの債務整理に比べると必要書類も少なく、一番自分でできそうな債務整理と言えるでしょう。
しかしやはり、プロの手に任せることをおすすめしたいです。
その理由は「交渉能力」です。
任意整理は裁判所を通さず、直接債権者と交渉をして借金の減額を行います。
弁護士や司法書士は債権者との交渉にも慣れていますが、そういった経験がまったくない素人ですと交渉が上手く出来ないこともあります。
さらに、そもそもの交渉が行えない(門前払いを受ける)こともあるようで、簡単に任意整理が出来るわけではありません。
多少の費用こそかかりますが、それでもプロに任せるほうが効率的に、希望に近く出来る可能性が高くなると考えたら最終的には「お得」と言えるのではないでしょうか。
返済に悩むなら債務整理を。任意整理が一番簡単
現在返済に悩んでいるのであれば、債務整理を考える必要があると言えます。
その中でも任意整理は、債務整理をしている方の中の大体9割が選択している方法ということもあり、「債務整理をするならまずは任意整理」といっても過言ではなさそうです。
住宅ローンや車のローンなど、特定のローンのみ整理をしなくてもよい、ペナルティが他の2つの債務整理方法よりは少ない、手続きも簡単で、弁護士や司法書士に依頼する際の費用も中で一番低い…と数々のメリットがあります。
ただ、全ての支払い義務が免除されるわけではありませんし、減額率も一番低いというデメリットもあります。
ご自身で任意整理の手続きをすることも可能ではありますが、手間や効率を考えるとやはり専門家に任せる方がいいでしょう。
収入の中から返済にどれだけあてられるのかによって個人再生と任意整理どちらを選ぶ方がいいかなど、弁護士に相談する際に的確なアドバイスを得られることが出来ますので、まずは無料相談に行ってみることをおすすめします。